東京新聞:原子炉に異常 11時間止めず 韓国原発、重大事故の恐れ:国際(TOKYO Web)

 【ソウル=中村彰宏】韓国原子力委員会は、南西部の全羅南道(チョルラナムド)・霊光(ヨングァン)
にあるハンビッ原子力発電所1号機で、原子炉の熱出力が制限値を超えて急上昇したにもかかわら
ず、運営する韓国水力原子力(韓水原)が即時停止せず、原子炉を止めたのは約十一時間半後だっ
たと発表した。放射能漏れなどは確認されていないが、同委員会は重大事故につながる恐れがあっ
たとみて、安全措置不足と原子力安全法違反として1号機の使用停止を命令した。

 同委員会によると、今月十日、原子炉の制御棒の試験中に熱出力が制限値の5%を超えて18%
まで上昇したが、韓水原は即時停止しなかった。原子力安全法では、熱出力が制限値を超えた場合
は原子炉の稼働をすぐに停止するよう定めている。また、制御棒を無資格者が操作していたことも明
らかになった。

 同委員会は、特別司法警察官を投入し、原因の調査を始めた。韓国メディアによると、特別司法
警察官の投入は原発の商業運転が始まった一九七八年以降、初めて。同委員会の孫明善
(ソンミョンソン)安全政策局長は「事故には至らなかったが、今までに起こった国内の原発の問題
の中で非常に深刻な状況なのは間違いない」と述べ、重大な事故につながる危険性があったと指摘した。

 一方、韓水原は、熱出力が上昇後すぐに制御棒を挿入したと主張。また、出力が25%を超えれば
原子炉は自動停止する設計になっており、事故が起きる恐れはなかったと反論した。

 韓国では今年に入り、原発が突然停止するなどの問題事案が相次いでいる。韓国内にある商業用
二十四基のうち十八基は日本海側にあり、事故が起きれば日本に被害が及ぶ可能性もある。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201905/CK2019052202000137.html