在日米海軍佐世保基地(長崎県)の日本人警備員が今月二〜十日ごろ、同基地警備隊の指示で、実弾入りの拳銃を携行したまま基地外の公道を歩き、
飛び地となっている基地の別施設に移動していたことが分かった。米軍基地内の日本人従業員の銃携行は日米地位協定で認められているが、基地外では同協定違反になり、
日本の銃刀法違反にあたる疑いもある。防衛省は事前に米軍側に中止を要請したが、実施された。実施後も中止を求めたが、しばらく続いていた。

 米軍基地の日本人警備員は全国の米軍基地で勤務しており、同様の問題が起こりかねない。防衛省は「再発防止を米側と協議する」としている。

 同省や基地従業員でつくる全駐留軍労働組合(全駐労)長崎地区本部などによると、米軍側は、同基地のバックゲート
(通称・立神(たてがみ)ゲート)と呼ばれる出入り口から、約六十メートル離れた飛び地の別の米軍施設(車両検査場)に銃を携行したまま歩いて移動し、業務にあたるよう指示。経路の五十メートル弱は、基地フェンスの外ではあるものの米軍区域内だが、
十数メートルは区域外の佐世保市道を横断することになるため、警備員は法令違反を懸念。だが同基地の警備担当者は「問題ない」と説明したという。

 携行したのは、基地内の警備業務で通常所持する自動式拳銃。十五発の実弾が装てんされ、予備弾倉(十五発入り)も二つ所持していた。五月二日から、
四日の土曜日と五日の日曜日を除き、少なくとも九日まで実施された。延べ約二十人が行ったとみられる。

 現場は米軍や海上自衛隊の関係車両のほか、民間企業の車両が通行。明治期の旧日本海軍のゆかりの建物
「立神煉瓦(れんが)倉庫群」に近く、一般の観光車両や観光客も通るという。

 防衛省は実施前の四月二十四日、全駐労から情報を把握し、地位協定に反するとして在日米軍司令部(東京都)に口頭で中止を要請。
大型連休後の五月七日、同労組から実施されたとの通報を受けて、再び口頭でやめるよう求めた。

 
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