スリランカ連続爆破事件やニュージーランド(NZ)銃乱射事件など世界各地のテロでソーシャルメディアが過激思想の誇示や拡散に悪用されている。

 9月にラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会開幕、来年には東京五輪・パラリンピックを控える国内では、
警察庁が16年4月、インターネット上に公開されたテロ関連情報などを自動的に収集・分析する「インターネット・オシントセンター」を警備局に設置し、運用している。

 オシントとは、公開情報収集(Open Source Intelligence)の略語。テロに関連する団体名などのキーワードから関連情報を集め、早期に兆候をつかむ狙いだ。
国際ハッカー集団による犯行声明などサイバー攻撃関連情報のほか、3Dプリンターで製造可能な拳銃のデータをダウンロードできるウェブサイトなどテロインフラ関連情報、イスラム過激派による書き込みなどを監視している。

【 国内の団体がソーシャルメディアで排外主義的な思想や一部の過激思想を拡散させる状況も続いている。
国は16年6月にヘイトスピーチ対策法を施行したが、罰則規定がないため、現在も差別的な主張を繰り返す団体がデモの様子をソーシャルメディアに投稿したり、ツイッターに書き込んだりしている。

 東京都は今年4月にヘイトスピーチを規制する人権条例を施行。
デモやインターネットで差別的言動があったと第三者機関が判断した場合、知事が団体や個人名を公表し、ネット上の動画や書き込みの削除を要請できるようになったが、表現の自由が侵害されるとの懸念も指摘されている。】

 過去に事件を起こした団体や過激派などもソーシャルメディアを使った宣伝や勧誘を続けており、警察当局が警戒している。
北海道警は昨年1月、オウム真理教の後継団体「アレフ」と関係のない勉強会を装って違法な勧誘をしたとして、30代男性信者を特定商取引法違反容疑で書類送検した。
この事件では、道警の押収資料から、ソーシャルメディアを勧誘に使っていたことが明らかになった。

 過去にゲリラ事件を繰り返した過激派の一部も、動画サイトで機関紙の内容を宣伝したり、ツイッターでデモやビラ配りの様子を投稿したりしており、警視庁などの公安当局は動向を注視している。【佐々木洋、金森崇之、山下智恵】

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190510-00000001-mai-soci