「菓子パンなんか二つも食えるか」(前原誠司)、「人間には、敵か家族か使用人の3種類しかいない」(田中真紀子)。
いずれも政治家による忘れがたい名言である。
しかしここで紹介したいのは、ネットに煽られて自滅する「加藤の乱」での加藤紘一のこの一言だ。

「私の携帯には菅さんの番号が入っている」

 ときは平成12年、森政権は不人気をきわめていた。
そこで加藤紘一は与党自民党の議員であるにもかかわらず、野党提出の内閣不信任決議案に同調するかっこうで倒閣を画策する。
世にいう「加藤の乱」である。側近だった谷垣禎一が半泣きの加藤に「大将なんだから。一人で突撃なんて駄目ですよ」と詰め寄る、あれだ。

 野党と手を組んで政権を奪う。こうした裏工作をともなう権力闘争は、竹下派やそれを割ってでた小沢一郎の真骨頂であった。
そうした彼らを批判し、距離を置いていたのが加藤である。その姿はひとによっては政界の良識派に、ひとによっては甘ちゃんに見えていた。
そんな加藤が意を決して自ら権力闘争に打って出たのである。

「◯◯さん? Facebookでつながってるよ」おじさんの原型か

 ことの発端となる会合で、加藤は「私の携帯には菅さんの番号が入っている」と吹聴する。
ここでの「菅さん」 は「すがさん」ではなく「かんさん」だ。今をときめく菅官房長官でなく、当時野党の実力者であった菅直人である。

 これを人脈自慢の言葉としてみると「◯◯さん? Facebookでつながってるよ」おじさんの原型に思えてくる。
あなたの会社にもいるだろう。会話をしていると、むこうのほうからそう言って話に入ってきて、「メッセンジャーで連絡してみようか?」といってくる人が。
そしてそれに頼って実際に◯◯さんに会ってみると、言うほど知り合いでなかったらしくて、面食らうことになる。




「私の携帯には菅さんの番号が入っている」加藤の乱は、ネットに煽られ自滅するおじさんの先駆けだった
https://bunshun.jp/articles/-/11755