肩やひじのけが予防のため、高校野球で一人の投手が一試合に投げる球数を制限する動きが活発になっている。
本紙は二十三日に開幕した選抜高校野球大会の出場三十二校にアンケートを実施。一部のプロ野球選手や県連盟は導入を提言しているが、「制限を設けるべきだ」と答えたのは一校にとどまった。 (原田遼、原尚子)

 議論のきっかけは昨年夏の全国高校野球選手権大会。金足農業(秋田)の吉田輝星(こうせい)投手が決勝途中まで一人で八百八十一球を投げ、健康面から起用法に賛否の議論が起きた。

 十二月には新潟県高校野球連盟が独自に春季県大会での「一人百球」の制限導入を発表。それに慌てた統括団体の日本高校野球連盟は有識者会議の設置を決め、「全国一律で実施を」と新潟に導入を見送らせた。

 調査は二月に行い、二十七校が回答した。「現行通りでいい」と「どちらともいえない」が各十三校で、慎重派が九割を超えた。

 四国地区の高校は、「選手に悔いを残させたくない」と答えた。エース自ら登板、続投を志願するケースは少なくなく、選手の意思を優先する立場から導入に否定的な声が多かった。

 導入すれば、より多くの投手が必要となり、好投手を集めやすい私立校に有利に働くおそれがある。公立校から「私立との差が広がる」「越境入学を先に規制して」と悲鳴が聞こえた。

球数制限、9割が慎重派 選抜出場校アンケート
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201903/CK2019032402000124.html