<社説>嘉手納爆音健康被害 基地の運用が命を奪う

米空軍嘉手納基地の爆音がいかに危険であり、現在の基地の運用がいかに非人道的であるかを、改めて示すショッキングなデータが明らかになった。

嘉手納基地周辺の住民1万7454人が高度の睡眠妨害を受けており、騒音が原因となって虚血性心疾患になる人が年間51人に達し、10人が亡くなっていると推定されたのである。
世界保健機関(WHO)欧州事務局が昨年10月に示した騒音に関するガイドラインを基に、北海道大学の松井利仁教授が試算し、発表した。

松井教授は測定手法が確立していなかった飛行場内の地上騒音の被害も大きいとして、エンジン調整や地上走行のデータも含めて評価した。
騒音の広がり方も地形や建物などを考慮して計算し、より高精度の騒音コンター(分布図)を作成した。そして、騒音レベルごとの影響人口とリスクを算出した。

<中略>

司法はこれまで「国は米軍機運航を制限できない」という「第三者行為論」、そして「高度の政治性を有する安保条約は司法判断になじまない」という「統治行為論」で米軍機の夜間・早朝の飛行差し止めを認めてこなかった。

9月に第3次訴訟の控訴審判決が言い渡される。命に関わる健康被害がここまで明確になった今、司法は飛行差し止めに踏み込んでほしい。国民の命より大事な「第三者行為」などあるのかと強く問いたい。

http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-888432.html