女子の肛門ミカタは女性医師 300年続く専門病院

肛門の専門医・山下亜津紗さん(34)
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江戸時代から300年以上続く兵庫県姫路市南八代町の肛門専門病院「木村病院」に、兵庫県内でも珍しい専門の女性医師が加わり、女性の外来受診が増えている。痔(じ)の治療で訪れる患者が大半を占める同病院。男性医師による診察、治療に抵抗のあった女性が受診しやすくなり、患者から「女性の先生がいて安心した」「女性ならではの相談ができる」などの声が上がる。(井沢泰斗)
 江戸時代の貞享(じょうきょう)4(1687)年に開院した同病院は、近隣では珍しい肛門専門病院として県内屈指の年間700件の手術を実施。北海道から九州まで全国から患者が訪れる。2013年に就任した11代目の木村泰之(ひろゆき)院長(45)まで代々、木村家の長男が引き継いできた。
 「多くの女性が出産を機に痔を経験する。元々、潜在的なニーズはあると感じていた」と木村院長。常勤医として加わってくれる女性医師を探し、姫路出身で神戸大病院(神戸市中央区)に勤めていた山下亜津紗(あづさ)さん(34)を16年から迎え入れた。
 木村病院によると、肛門科のある病院やクリニックは県内に約130施設あるが、女性の常勤医は3人ほどしかいないという。同病院では、山下さんの加入が口コミで広がり、女性の外来患者の割合が4割から5割に増えたという。
 痔の手術で入院した姫路市内の女性会社員(53)は「患部を他人に見せるのは勇気がいることなので、女性の先生がいてほっとした。痔は男性の病気と思っていたが、意外と女性の受診が多いことに驚いた」と話す。
 18年4月からは副院長も務める山下さん。女性は家族の体調を優先してしまい、自身の健康は後回しになって症状が悪化する傾向が気がかりだという。「痔で病院に来ることにためらいがある女性も、一度来てもらえれば抵抗感はなくなる。自身の存在が受診のハードルを下げるきっかけになればうれしい」と語る。
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