2019年2月23日 19時25分 時事通信社
http://news.livedoor.com/article/detail/16066807/
【ククタ(コロンビア)時事】ベネズエラで独裁的な反米左派のマドゥロ大統領と対立している反体制派の
グアイド国会議長は23日、隣国コロンビア北部のククタに集まった人道支援物資のベネズエラ側への搬入を試みる。
物資はグアイド氏が米国などに要請。マドゥロ政権は受け入れを拒んでおり、流血の事態も懸念される。

産油国ベネズエラでは数年来の国際原油価格低迷やマドゥロ政権の失政で経済が破綻。
昨年のインフレ率は170万%に達した。食料・医薬品不足は深刻化の一途をたどり、
数百万人が国外に脱出。グアイド氏は「このままでは30万人が餓死するかもしれない」と、
自身を支持する米国や南米諸国に支援を仰いだ。
しかし、支援に乗じた米国の軍事介入を恐れるマドゥロ氏は「人道危機など存在しない。
われわれは物乞いではない」と搬入を拒否。国境の橋をコンテナなどで封鎖してきた。
支援物資の受け入れは、政権の失政を認め、さらなる求心力低下につながりかねないからだ。

物資の足止めを受け、23日の搬入を宣言したグアイド氏は22日、危険を冒しながらもククタに越境した。
マドゥロ氏の掌握下にある軍の実力行使を恐れるグアイド氏は国民に対し、白い服を着て
最寄りの軍兵舎に集まり兵士らに物資の通過を訴える「人道のなだれ」作戦への参加を呼び掛け、
国際的注視の中で首都カラカスへの凱旋(がいせん)を目指している。
これに対し政権側は「搬入するなら、われわれのしかばねを越えなければならない」(パドリノ国防相)と断固阻止の構え。
22日夜にはククタ近辺の国境橋の閉鎖を宣言し、警戒レベルを最高度に引き上げた。
マドゥロ派が牛耳るベネズエラ最高裁は1月29日にグアイド氏の出国禁止を決定しており、
政権側は同氏の身柄拘束や再入国阻止に出る可能性がある。
グアイド氏が拘束されたり、物資搬入のボランティアが政権側の発砲で死傷したりした場合、
グアイド氏最大の後ろ盾の米政府が関与を強めるのは必至。トランプ大統領は
「すべての選択肢が開かれている」と何度もマドゥロ氏に警告しており、
米軍の介入をきっかけにベネズエラが内戦に陥る恐れが現実味を帯びていきそうだ。