<社説>基地にドローン規制 沖縄を狙った報道弾圧だ

日本新聞協会は8日、政府が小型無人機ドローンによるテロへの対策として今国会に提出予定のドローン規制法改正案について、自衛隊や在日米軍基地上空の飛行禁止を盛り込む方針に反対する意見書を政府に提出した。
政府方針が盛り込まれれば、自衛隊基地や米軍基地への取材が大きく制限される。
国民の知る権利を著しく侵害する方針に、新聞協会が反対を示したことは当然といえる。

W杯と東京五輪・パラリンピックについてはテロ行為の未然防止という観点から一定程度理解できる。しかも措置は一時的なものであり、報道メディアは除外されている。
問題なのはその次に挙げた「防衛施設に係る措置」の項目だ。自衛隊基地と演習場、在日米軍基地と区域の周辺地域上空の飛行禁止をドローン規制法による対象施設に加えることが「適当である」と記している。

W杯や五輪と違い、暫定的ではなく恒久法だ。しかも報道メディアの除外規定も見当たらない。明らかに報道を規制対象にしている。
表現の自由を脅かす措置であり、断じて容認できない。

米軍基地が飛行禁止対象施設に加えられると、最も影響を受けるのは、在日米軍専用施設の約70%が集中している沖縄の報道機関だ。

琉球新報と沖縄タイムスの両編集局長は今年1月、日本新聞協会の編集委員会で、強く反対する考えを示し、文書でも反対の意思を示した。意見書提出はこうしたことを踏まえたものとみられる。

米軍基地内ではこれまでも、米軍機の墜落など重大事故が起きている。立ち入ることのできない米軍基地の取材で、小型無人機の撮影取材は欠かせない。
飛行禁止は沖縄を狙い撃ちにした報道弾圧だ。米軍基地を対象施設に加えてはならない。

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