小さなキズやヒビが時として、飛行機や橋を壊すことがある。これは、キズやヒビ内部の腐食が検出しにくいためだ。
この問題を解決すべく、米ノースウェスタン大学研究チームは、金属のキズやヒビを数秒で自己修復する画期的な新コーティングを開発した。
研究チームが開発した現在特許申請中のシステムでは、金属がキズやヒビの損傷を受けると、すぐに液体コーティングが流れて接着し、損傷部が数秒で自己修復する。
実験では、同じ場所を200回損傷させても自己修復することが確認された。

研究チームは、液体コーティングを軽い粒子のネットワークでつくり、液体の粘着性を高めることに成功した。この液体は油のような性質をもつ。
今回はグラフェンカプセルを使用したが、中空で軽い粒子であればこのコーティングをつくれるという。粒子は油膜を固定し、その場に留まる性質を持つという。

実は、自己修復コーティングはすでにいくつか存在している。しかし、これらはナノメートルからミクロンサイズの小さなキズに機能するものが多い。
同研究チームが開発したコーティングは、ミリメートルスケールの大きなキズの修復を目的としている。
そして、ただ接着するするだけでなく、水中や酸浴などの化学環境や強い乱流でも強力に接着するのが大きな特徴だ。
そのため、研究チームは水中に沈む橋やボート、また金属構造物などに使用できるとみている。

これらの技術は様々な応用ができそうなので、実用化が楽しみだ。

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