在日韓国人の自営業男性(35)=沖縄県石垣市=をインターネット上の匿名掲示板で誹謗中傷し名誉を傷つけたとして、
石垣区検が市内に住む男性ら2人を名誉毀損(きそん)罪で略式起訴していたことが、5日分かった。石垣簡裁はいずれも罰金10万円の略式命令を出した。
差別問題に取り組む弁護士らによると、在日コリアンに対するネット上の匿名ヘイトスピーチを同罪で処罰するのは全国初。
被害男性は民事訴訟も提起する方針。(八重山支局・新垣玲央)

 被害男性は2016年2月、不特定多数が閲覧できるネット掲示板「2ちゃんねる」で、実名を挙げて「在日朝鮮人、詐欺師、借金まみれ」
「在日だから当然か」などと書き込まれて名誉を傷つけられたとして、八重山署に刑事告訴していた。

 複数の関係者によると同署は昨年11月に被疑者不詳で書類送検していたが、検察側が独自に捜査を進めたとみられる。
検察側は詳細を明らかにしないが、2人はいずれも県外出身者で、うち1人は40代とみられる。起訴処分はそれぞれ1月15日付と同月23日付。

 ヘイトスピーチは「2ちゃんねる」にとどまらず、別の匿名掲示板にもあった。
確認できるだけで18年12月まで続いている。

 男性自身や仕事内容への中傷のほか、「在日は恐ろしい」「朝鮮人は日本から出て祖国へ帰れ」など明らかに民族差別的な投稿も複数見られた。
男性の会社名なども記載され、仕事上の風評被害もあった。

 全国では18年4月、京都市の街頭で男性がヘイトスピーチをしたとして、
京都地検が侮辱罪より重い名誉毀損罪を初適用し在宅起訴した。
同12月にはネット上で匿名のヘイトスピーチを書き込んだ男性に対し、川崎簡裁が侮辱罪で科料9千円の略式命令を出した。

 ヘイトスピーチの問題に詳しい龍谷大の金尚均(キムサンギュン)教授(刑法)は「差別解消に向けた施策を国の責務とするヘイトスピーチ対策法が16年に施行され、立件の下支えになっている。捜査当局は今後も積極的に対応すべきだ」と指摘した。



 
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