プロフェッショナルがそれぞれの持ち場を守って、社会は回っている。
職場体験に来てくれた生徒にはまず、そんなことを伝える。
缶コーヒーのCMも言っている。「世界は誰かの仕事でできている」

▼逆にプロが信頼を裏切ると、影響はドミノ式に広がる。
よく買っていた「国産菜種油」は外国産サラダ油が混ぜられていた。
このメーカーの偽装は多く、製品を原料にした他社製品も次々に販売中止となった

▼大手でも自動車、建物の免震装置と、命に関わる偽装が相次ぐ。
「安心の日本製」はいつか「疑惑の日本製」に転落するのか

▼それでも企業ならば私たちには不買という選択があり、退場を促すこともできる。
役所は違う。厚生労働省に競争相手はなく、つぶれない

▼毎月勤労統計の不正は闇が深い。15年間も調査方法を偽り、何度も正す機会がありながら隠蔽(いんぺい)してきた。
結果、困った時の失業給付などを満額受け取れなかった人が多数出た。
根本匠厚労相は「組織的隠蔽ではない」と言う

▼税金を使って納税者を欺いた厚労省が給付やり直し、システム改修といった尻ぬぐいに使うのはやはり税金。

私たちが労使折半で払ってきた雇用保険料までつぎ込む。
支払いは今後も義務である。
きちんと怒り、過ちを正す。私たちは納税者としてもプロになる必要があるのかもしれない。(阿部岳)

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/374741