八重山毎日新聞 不連続線

「メダカ民族」。元朝日新聞編集委員の大記者である本多勝一さんが、この国の国民性を言い表した言葉だ。
メダカの先頭が動きゆくのに合わせて後続の群れも流れゆく。何も考えずに右に左に

▼論語にある孔子の「民をして由(よ)らしむべし、知らしむべからず」の言葉。近ごろ、この二つの言葉が海鳴りのように頭の片隅から離れない。
なぜか。戦前戦中の軍国ニッポンがそうだったように

▼中山義隆市長は陸上自衛隊基地誘致問題で「国防は国の専権事項」と声高に叫ぶ。
陸自基地の全容も明らかにされない中で物事を強引に推し進めようとしているのが気になる。
なぜ今、与那国、宮古、石垣に自衛隊配備なのか

▼いち早く自衛隊基地が出来た与那国はその後どうなっているのか。
基地建設が進む宮古では住民に基地の全容が知らされてはいない

▼石垣でも基地計画の詳細、水源等の環境問題、都市計画法違反疑惑など問題が噴出している。
市長の職務は市民の生命財産を守ることである。市民は市長に対し説明責任を求めている。しかしその求めに応じようとしない

▼まさに「知らしむべからず」だ。中山市長は「メダカ民族、メダカ社会」の先頭を泳いでいるつもりなのか。
後世に禍根という大きな代償を残すことだけは、避けた方が賢明だろう。   (金城正洋)

http://www.y-mainichi.co.jp/news/34775/