助けを呼ぶ声 とっさにはしごかけ 全焼民家から3女児救出 5人に感謝状
12/29(土) 13:53配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181229-00000026-mai-soci


古田一人さんが姉妹3人の救出に使ったはしご。姉妹たちは奥に見える2階の屋根で助けを求めていたという=京都市伏見区で2018年12月27日、南陽子撮影
 京都市伏見区の住宅街で7日夜、木造住宅が全焼した火災で、取り残された3人の女児を隣家の男性らが無事に助け出した。市伏見消防署は27日、消火器を持って駆けつけた男性らを含めて5人に感謝状を贈った。【南陽子】


 同署によると、火災は7日午後7時ごろ、84歳の男性方(木造一部3階建て延べ約150平方メートル)で発生。男性と妻(80)は玄関から逃げ出せたが、ひ孫の11歳、8歳、5歳の姉妹3人が取り残された。

 西隣の古田一人(かずひと)さん(68)は、20分ほど前に買い物から帰って離れにいたところ、「いつもとは違う(姉妹の)騒ぎ声」に気づいた。外に出ると白い煙が流れ、姉妹2人が2階の屋根で「息ができない」「早く助けて」
「こんなとこで死ぬのはいや」と叫んでいる。庭の手入れに使うはしごを物置から出して平屋の離れの屋根へ上がり、さらにはしごを隣家の2階屋根へとかけ直した。

 ところがはしごの長さが足りず、はしごを両手に持って支える形に。煙はどんどん濃くなり、室内に炎も見える中、11歳と8歳の2人がはしごで下りてきた。2人は「もう1人いる!」と叫び、姿が見えなかった5歳の妹も駆け下りてきたという。

 その頃、姉妹の叫び声を聞きつけた近所の川井和三郎(わさぶろう)さん(68)がブロック塀をよじのぼって顔を見せ、3人を抱き取った。さらに近所の鈴木亨さん(30)も駆けつけ、バトンリレーのように順に避難させた。

 119番した古田さんの妻の佳美さん(70)は「ものすごい炎になって足が震えた。誰もけががなくて本当に良かった」と話した。

 古田さんは1969年に自宅を構えて以来、火元の男性一家と付き合いがあり、週末などに遊びに来る姉妹の顔も知っていた。

 救出の足場となった離れは趣味の部屋として3月に建てたばかり。3人を川井さんに託した後は疲弊と息苦しさでしばらく動けなかったという古田さんは「運が良かった」と振り返った。

 川井さん、鈴木さんと面識はなかったが、贈呈式の終了後にあいさつし合い、古田さんは川井さんに「地獄の中の仏でした」と感謝していた。

 伏見消防署の西田吉伸署長は「共助の力が結集した素晴らしい活動に敬意を表したい」とたたえた。