安倍晋三首相と、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は11月30日、
アルゼンチンで開かれたG20(20カ国・地域)首脳会合(11月30日〜12月1日)に合わせて会談した。
主要課題は日産とルノーの問題だった。

 ルノーの大株主である仏政府は、自国の雇用確保や産業育成のため、日産への影響力を高めたい意向とされる。
これに対し、安倍首相は、日産とルノー、三菱自動車の3社連合(アライアンス)について、
「日仏産業協力の象徴」と指摘したが、今後のあり方は「民間の当事者間で決めるべきで、政府がコミットすべきではない」と距離を置いたのだ。

 「ルノーサムスンの頼もしい味方だった」(朝鮮日報)というゴーン容疑者が逮捕されたことで、
韓国自動車業界では、委託生産契約の「延長は難しいかもしれない」という推測が流れていたという。

 韓国事情に精通するジャーナリストの室谷克実氏は
「韓国の自動車メーカーの労働組合は『世界有数の戦闘的労組』として知られる全国民主労働組合総連盟(民主労総)に入っており、
大闘争になるだろう。具体的には、韓国政府と一緒になって、日本政府と日産に対して『発注しろ』と圧力をかけてくるだろうが、
現在の日韓関係では、そのような圧力が効くかは疑問だ」と語る。

 いわゆる「徴用工判決」で、日韓関係は史上最悪といえる状況に突入している。
日本人の怒りは沸点に達しているうえ、国家間の約束ですら簡単に反故(ほご)にするような国では、
まともな企業活動が行えるのか大いに疑問といえる。

 安倍首相はG20の期間中、ドナルド・トランプ米大統領や、ロシアのウラジミール・プーチン大統領ら、
各国の首脳と精力的に会談を行った。だが、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領とは会談しなかった。

 文氏は1日、G20を終えてニュージーランドに向かう専用機内で、
「過去の歴史問題は別途、賢明に処理しながら未来志向の協力をしていかなければならない」(聯合ニュース)と記者団に語ったという。

 自国こそが、歴史問題を蒸し返し、両国の協力関係を損なっていることを忘れたのか。
戦闘的労組の怒りが自身に向かうことを恐れたのかもしれないが、日本としては絶対に受け入れられない。