退任後の報酬50億円隠蔽か 日産、ゴーン容疑者と契約

 日産自動車の会長だったカルロス・ゴーン容疑者(64)が役員報酬約50億円を有価証券報告書に記載しなかったとして
逮捕された事件で、ゴーン前会長が退任後に報酬を受け取る契約書を日産と交わし、毎年約10億円、
5年度分で約50億円が積み立てられていたことがわかった。東京地検特捜部はこの契約書を押収。
将来の支払いが確定した報酬として開示義務があり、事実上の隠蔽(いんぺい)工作と判断した模様だ。

 ゴーン前会長は、側近で前代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者(62)と共謀し、2010〜14年度の5年分の役員報酬について、
実際は計約99億9800万円だったのに、有価証券報告書には約50億円少ない計約49億8700万円と記載したとする金融商品取引法違反の容疑で逮捕された。

 日産は08年、取締役の金銭報酬の総額について、上限を29億9千万円と決定。有価証券報告書に記載された08年度の報酬総額は約25億円だった。
一方、上場会社の役員報酬は09年度の決算から、年1億円以上を受け取る役員の名前と金額の開示が義務づけられた。
日産の09年度分の取締役報酬の総額は約16億円に減り、その後も15億円前後になった。このうち、ゴーン前会長分は10億円前後だった。

 関係者によると、ゴーン前会長は自分が受け取るべき報酬は約20億円と考えていたが、報酬の個別開示の義務化を受け、
「高額だ」と批判されることを懸念。役員報酬は約10億円にとどめ、別の名目でさらに約10億円を受け取る仕組み作りが必要だと考えたという。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181124-00000009-asahi-soci