性器を握り、触る......「捕食者」と呼ばれる国連高官の手口と国連の闇

<女性や若者の問題を担当するエリート職員のセクハラ疑惑は国連という組織の制度と文化の問題点を浮き彫りにしている>

UNウィメン(ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関)の創設は2011年1月。巨大な官僚機構である国連に加わった最も新しい組織で、世界中から性差別をなくすことを目的としている。
ところが、その上級顧問の1人が1年以上前からセクハラ容疑で内部調査の対象になっているというから驚きだ。
UNウィメンの報道官は当該人物の名を明かさなかったが、その人物が在職中であることを認め、ただし「現時点で職務は行っていない」とした。
調査関係者の情報によれば、調査の対象は国連事務総長補の上級顧問ラビ・カルカラという人物。容疑は地位と特権を利用し、少なくとも8人の男性に対する性的虐待を行ったことだ。
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2人きりだとカルカラは不適切な発言や身ぶりをするのが常で、オーラルセックスを要求することもあった。カルカラがリーを登用したことへの「お返し」をしろ、ということだったらしい。
リーは、カルカラから送られてきたメッセージのスクリーンショットを見せてくれた。そこには、「準備しろ、練習しろ。ビデオを見ろ......気に入ったリンクがあったら送って」と書かれていた。
モントリオールのホテルの部屋で、カルカラはリーに、ポルノを見るか、どんな種類のものか、セックスには積極的か、自慰はするのか、練習しているか、といった質問をしてきた。
リーは笑いでごまかし、そういう話はやめてほしいと頼んだ。するとカルカラはリーのパソコンを取り上げ、画面を開いた。リーがそれを取り戻そうとすると、カルカラはリーのズボンの上から性器をつかんだという。
「彼はこういうことをたくさんの若い男性にやっている」とリーは言う。ただし自分の性的な欲望を満たすためではなく、「自分は高い地位にいるから何でもでき、相手は何もできないという感覚」を楽しんでいるらしい。
「初めての経験か?」というカルカラの質問に心をえぐられながら、リーは彼を押しのけ、部屋を出たという。
国連の高官による、優越的な地位を利用した卑劣な性的虐待。これは一個人だけの問題ではない。
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https://www.newsweekjapan.jp/stories/woman/2018/11/post-102_1.php