河野太郎外相は14日の衆院外務委員会で、韓国の元徴用工4人による新日鉄住金に対する
損害賠償の求めに韓国大法院(最高裁)が賠償を命じた判決(10月30日)をめぐり、
1965年の日韓請求権協定によって個人の請求権は「消滅していない」と認めました。
日本共産党の穀田恵二議員への答弁。大法院判決について「日韓請求権協定に明らかに反する」としてきた
安倍政権の姿勢が根本から揺らぎました。
穀田氏は外務省が日韓請求権協定第2条について「個人の請求権そのものを国内法的な意味で
消滅させたものではない」(柳井俊二条約局長1991年8月27日、参院予算委)と答弁したことを示し、
河野氏の認識をただしました。河野氏は「個人の請求権が消滅したと申し上げるわけではございません」と明言しました。

 また穀田氏は、大法院判決で原告が求めているのは、未払い賃金の請求ではなく、
朝鮮半島への日本の植民地支配と侵略戦争に直結した日本企業の反人道的な不法行為を前提とする
強制動員への慰謝料だとしていると指摘。これに関し柳井条約局長が、92年3月9日の衆院予算委員会で
日韓請求権協定により「消滅」した韓国人の「財産、権利及び利益」の中に、
「いわゆる慰謝料請求というものが入っていたとは記憶していない」としたことをあげ、
「慰謝料請求権は消滅していないということではないか」とただしました。

 外務省の三上正裕国際法局長は「柳井局長の答弁を否定するつもりはない」、
「権利自体は消滅していない」と答弁しました。

 穀田氏は、「個人の請求権は消滅していない」と強調。
「日韓双方が被害者の尊厳と名誉を回復するという立場で冷静で真剣な
話し合いをすることがきわめて大切だ」と求めました。

2018年11月15日(木)
しんぶん赤旗
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-11-15/2018111501_03_1.html