確かに、ヘイトデモが禁じられる場所が指定されたり、デモの回数が減って規模も縮小したりしている。しかし、対策法が目標とするヘイトの「根絶」は道半ば。
「『死ね』『殺せ』といった言葉は減ったが、拉致問題解決のデモを装って朝鮮人を差別するケースもあり、巧妙化している」との指摘もある。

 日本のヘイトスピーチには、海外からの批判も高まっている。国連の人種差別撤廃委員会は長年、日本政府に差別禁止の取り組みの遅れを指摘、是正するよう繰り返し勧告してきた。ヘイトスピーチ対策の遅れも、その一つだ。


 委員会は今年8月も日本を審査。ある委員からは「ヘイトスピーチ対策法に『差別的言動は許されない』とあるが、どう許さないのか」との質問が投げかけられた。

 委員会は
(1)ヘイトスピーチ対策法の改正
(2)人種差別を禁止する具体的で包括的な法律の採択
(3)ヘイトクライムや憎悪の扇動を調査し、適切な制裁を科すこと
―などを次々と勧告。より踏み込んだ措置を求めた。

 人種差別撤廃条約の加盟国には、人種差別禁止法の制定が課せられている。日本は1995年に条約加盟したが、20年以上たっても法を制定していない。
条約が定めた「人権機関」の設置も未達成だ。ヘイトスピーチ対策法だけでは埋められない差別根絶の取り組みの必要性が高まっている。(共同通信ヘイト問題取材班、続く)




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デモは減ったけれど…
 進む巧妙化、海外から批判も 検証・ヘイトスピーチ対策法(2)
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