全国の公立高校で妊娠により退学した女子生徒が2015、16年度の2年間で、
600人を超えたことが、文部科学省の実態調査で明らかになった。
性の問題が低年齢化している実態を受け、福岡県教委は今年度、中学生を対象に医師ら専門家による性教育の派遣授業を始めた。
県教委単位で中学校への派遣授業を実施するのは九州初。専門家は「早い時期に始めることは意義深い」としている。

文科省が昨年9、10月に初めて実施した調査によると、妊娠した生徒は全国の公立高校が
把握しているだけでも15、16年度で計2098人に上る。うち妊娠を理由にした退学は674人。
福岡県でも妊娠した60人のうち35人が退学している。
県教委は、望まない妊娠や出産への対応をより早い時期に行う必要があると判断し、派遣授業を始めることにした。
希望校を募っており、今年度、約70校に実施する。20年度まで行う予定だ。

「性って何だと思いますか」。9月下旬、福岡県八女市矢部村の市立矢部中学校(20人)で行われた派遣授業で、
同市の保健師、今永美波さん(32)が2年生男女8人に語りかけた。
今永さんはスライドで思春期を迎えた男女の体の変化や性的な接触による妊娠の仕組みを説明。
若年出産や性感染症のリスクも紹介し、胎児のエコーの動画をスクリーンに映し出した。
「妊娠は素晴らしいこと。でも、中学、高校生に子育てができますか。好きな人でも嫌なことは断り、
信頼できる大人に相談してほしい」と呼び掛けた。
女子生徒(13)は「性感染症になると子供ができない体になることもある。
友人に相談されたら、正しい情報を伝えられるようになりたい」と感想文につづった。

読売新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181106-00050021-yom-sci