国籍や性別、性的指向……。少数者に向けられる差別やヘイトスピーチが止まらない。
過激な言動で知られる「ネット右翼」と呼ばれる人々の実態調査に早くから取り組んできた辻大介・大阪大学准教授(コミュニケーション論)は、
「彼らの言動を過剰に意識するな」と警鐘を鳴らす。

 ――「ネット右翼」の人々がどのような政治的意識や属性を持っているのか、調査をしてきましたね。

 2007、14、17年と3回にわたり、ネット利用者を対象に調査を続けてきました。
愛国や差別、排外主義の言動を過激に行う集団として、無視できない存在となったからです。

 ――どんな人をネット右翼と規定したのですか。

 私たちの調査では、嫌韓・嫌中を訴える、靖国参拝支持など保守的政治志向を持つ、
ネットで意見発信するの3項目すべてを満たす人を、ネット右翼としました。
当初はネット右翼の問題というと「歴史修正主義」が中心でしたが、近年は差別やヘイト、排外主義の問題に重点が移動しつつあるように感じます。

 ――ウェブ調査から見えたネット右翼層の実態は、どうだったのですか。

 一般には「貧しい若者が、ネットでうっぷんを晴らしている」というイメージが広がっていますが、実態は異なっていました。
特定の年齢層や年収レベルとの関連性は見えなかったのです。
高齢層や「中流」の人々が含まれている事実にも、留意すべきです。




「ネット右翼」イメージと異なる実態 研究者から警鐘
https://www.asahi.com/articles/ASLBQ6QKRLBQULZU00R.html