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「損害賠償100万円」 通告は突然
「あの日のことは、今も忘れられません」と大学院生の梅原宏太朗さん(25)=仮名=は言う。昨年9月の出来事だ。

夜9時すぎ。いつも通り、アルバイト先のファミリーマートに向かった。東京23区内。JRと地下鉄が乗り入れる駅前の店舗は夜間も客足が途切れない。

店に到着すると、同僚のバイトが「店長が呼んでいる」と言う。地下の事務所に下りると、店長と見知らぬスーツ姿の男性が待っていた。スーツの男性は司法書士だという。

話は思わぬ内容だった。

梅原さんによると、店長と司法書士は、店内の監視カメラの映像を示しながら「梅原さんがレジからカネを持ち出した」「深夜に店舗を施錠して客が入れないようにした」などと言ってきた。そして、司法書士はこう続けたという。

「損害額が100万円を超えることは確か。支払わない場合は警察、学校、家族、出すとこにすべて出します」

これに対する梅原さんの言い分はこうだ。

レジからカネを持ち出したのは釣り銭が足りなくなったためで、レジの1万円札をATMでいったん自分の口座に入金し、1000円札に崩して引き出し、釣り銭に充てた。
店舗に鍵をかけたのは、深夜の1人勤務である「ワンオペ」時、冷凍食品が大量に搬入され、レジで対応していたら商品が溶けてしまうと思ったから。過去に2回、それぞれ10分間ほど店を閉めたことがある――。