>>1のつづき

その後1年間はタイで僧侶として過ごし、日本に戻って大学院で国際関係学を専攻することになったデザキ氏は、自分のように右翼勢力から攻撃を受けた人たちに視線を向けた。
代表的な事例が慰安婦証言を初めて報道した植村隆元朝日新聞記者だった。デザキ氏は
「日本の右翼はなぜ慰安婦問題を伏せようとするのか気になって調べてみると、日本と韓国のメディアが相反する見方をしていた」
とし「実際にどんなことがあったのかを発見しようと30人ほどにインタビューをした」と話した。
「当初、日本の右翼が正しいかもしれないと思ったが、他の学者や歴史家に会って人道主義的な観点に目を向けるようになった」
とし「先入観なく取材するというのは容易でなかったし、編集も難しかったが、わずか数人の観客でも私がたどった過程によって考えが変わることを望んでこのドキュメンタリーを制作した」と語った。

デザキ氏は慰安婦問題に関する安倍政権の国粋主義フレームの背後に日本会議(天皇制復活と靖国神社参拝を促す最大極右団体)との政治的癒着があると指摘した。
また米国が中国の膨張を牽制するために北東アジア最前線友好国の韓国と日本の拙速和解に圧力を加えてきたと主張した。
一方では慰安婦が20万人という韓国側の数値が誇張されている可能性を提示し、
「誤った数値は日本の右翼に攻撃の口実を与えかねない。慰安婦問題に関して建設的な対話をするには韓国・日本ともに自国中心のフレームから抜け出さなければいけない」と主張した。

ドキュメンタリーには
「私たちの子孫のことを考えて私たちは正しい歴史を教え、正しい教育をしなければいけない」
という慰安婦被害者の李容洙 (イ・ヨンス)さんの言葉が引用される。これはそのまま韓国にも適用される。
デザキ氏は7日、今回の映画祭に『記憶の戦争』を出品したイ・キル・ボラ監督と公開対談をした。『記憶の戦争』はベトナム戦争当時の韓国軍の良民虐殺を扱ったドキュメンタリーだ。
デザキ氏は「韓国の人たちが見なければいけない映画」とし
「攻撃を受けることを知りながらも自国の過ちと向き合うイ・キル・ボラ監督は非常に勇敢だと思う」と述べた。
デザキ氏は自分のドキュメンタリーでも、ベトナム戦争当時に韓国軍も慰安所を運営してベトナム女性を強奪したとし、これは日本軍が韓国軍に残した悪い残滓だったと指摘した。

つづく