Fさんら配送員のおもな仕事は、大阪市内にある営業所からトラックでコカコーラの自販機を回り、
ドリンクを補充したり、釣り銭の補充や自販機のトラブルに対応したりすること。積み荷を降ろしたり、
エレベーターのない建物では1箱7キロほどあるドリンクを3箱担いで階段で上がるなど、体力勝負の仕事である。

 Fさんが7月に受け持っていた自販機は100台以上あり、1日に回るのはこのうち15台程度。
1日25台程度と言われるベテラン配送員のノルマよりは少ないが、新人だからといって道路沿いに設置されている自販機ばかりでなく、
半数近くは工場やオフィスなどの敷地内の自販機だ。なかには台車の使用が制限されているところもある。
 父はFさんの死後、会社から入手した資料をもとに、Fさんの配送先を実際に回ってみた。
3階建てのゴルフセンターにはエレベーターがなかった。やはり3階建てでエレベーターのない会社もあった。
迷路のようになっていて自販機までたどり着くのが一苦労という建物もあった。