■千島海溝巨大地震の前触れか!?
 2018年は、8月11日のスーパームーン&部分日食の観測以降、「リング・オブ・ファイア(環太平洋火山帯)」上でM6超の大地震が多発しており、
日本でも懸念が高まっていた最中に起きたのが今回の地震だった。では、今後の余震活動が収まれば北海道の大地震は終息するかというと、
残念ながら話はそれほど単純ではないようだ。
 現在の北海道は、4000万年前に2つの大きな島が東西から衝突して1つの島になったという説がある。元東京大学地震研究所の都司嘉宣(つじ・よしのぶ)氏に
よると、その名残こそ石狩平野であり、今回の地震との関係が囁かれる「石狩低地東縁断層帯」は、もともと通常の断層ではなく2つの島の“境界線”
だったと考えられるという。そして、現在も東西から押し合う力が働いていると都司氏は指摘する。この説に従えば、今回同様の地震はこれからも起きると
いうことになるだろう。
 また、過去の記事でも指摘したように、北海道はM8クラスの千島海溝巨大地震が「いつ起きてもおかしくない」と懸念されている。今回の北海道胆振東部地震が
この千島海溝の巨大地震の前兆となる可能性はあるだろうか?
この点について前述の郡司氏は、千島海溝の巨大地震は胆振東部地震の100倍ものエネルギーがあるため、直接誘発することはないとしながらも、
「断層のひずみが溜まっていれば、海溝のひずみも溜まると考えれば、今回の地震が千島海溝巨大地震の先駆けの可能性はあります」(ウェザーニュース、
2018年9月6日)と指摘。つまり、今回の地震がさらなる巨大地震を「誘発」することはないものの、「先駆け」となる可能性はあるということだ。

(続きます)