精神科医で立教大学教授の香山リカ氏の原発問題に関する発言を撮影した過去の動画が、
定期的に話題になっている。
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他の精神科医も同様の趣旨の発言をしているのか、また、その医学的な根拠はあるのかということを
調べてほしいとの依頼が、読者から寄せられた。
動画での香山氏の発言は、以下の通りだ。「原発維持や推進をしようとする人たちは、私、精神科医から
見ると、心の病気にかかっている人たちに思えます」。
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東日本大震災の発生後に刊行された雑誌『imago』(『現代思想』2011年9月臨時増刊号)には、複数の
精神科医が寄稿している。
だが、原発への賛否について、精神医学の観点から述べているものは見当たらない。この雑誌には
香山氏も寄稿しているが、先述の動画での発言のような見解は記されていない。
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精神科医の斎藤環氏には、『原発依存の精神構造』(新潮社)という著作がある。
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その詳しい内容をここで扱うことはできないが、原発維持・推進の立場の人は「心の病気」であるという
香山氏の見解に相当するものは見当たらない。
斎藤氏は「あとがき」で、自身は脱原発の立場であると明言している。ただし、「原発を絶対悪とみなすだけでは
どうにもならないところまできている」(183ページ)、「過激すぎる主張やパフォーマンスは、一時の扇動や
自己満足としては有効であっても、長期的には内部分裂をまねき支持者を減らすことになる」(184ページ)という。
福島の原発について、「廃炉作業には原子力発電の専門家の知識が不可欠だが、新たにそうした専門家を
育成・維持するためにも、必要最小限の原発再稼働は避けて通れない」(183ページ)と主張。
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このような見解は、おそらく香山氏とは相容れないだろう。それはともかく、斎藤氏の考察は日本の社会という
「集団」の特徴を論じたものであって、原発の賛否についての「個人」の心理を対象として論じているのではない。
この点でも、香山氏の「心の病気」発言とは異なるのではないかと思われる。
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