国連人種差別撤廃委員会は30日、日本の人権状況と政府の取り組みへの見解をまとめた報告を公表し、ヘイトスピーチ対策の強化などを勧告した。
ヘイトスピーチについては、2016年に日本が対策法を施行した後もなくならない現状に懸念を表明。
対策が不十分だとの認識を示し、より広い被害救済につなげるよう同法を改正し、差別的言動を禁止するよう求めた。

 同委員会は18人で構成し、日本も加入する人種差別撤廃条約の履行状況を包括的に調べる。各国別に定期的な審査で「最終見解」と呼ぶ報告をまとめ、改善を求めて勧告する。
日本への勧告は、01年、10年、14年に続いて4回目で、今回は日本政府代表が出席した対日審査の会合が16、17の両日に行われた。勧告に法的拘束力はない。

 日本のヘイトスピーチ問題をめぐっては、前回14年も法規制を勧告した。委員会は今回、対策法の施行を歓迎しつつも、同法では被害者が特定できる場合しか救済されず、効力は限定的だと指摘。
その上で、集会やデモでのヘイトスピーチや暴力をあおる発言を法律で禁止し、インターネット上でのヘイトスピーチに対しても効果のある対策を取るように求めた。
さらに、捜査部門に差別犯罪の捜査、処罰について訓練を行うことも勧告した。

 公表後の記者会見で、対日審査を担当したマルク・ボスート委員は、日本のヘイトスピーチへの取り組みは「十分ではない」との認識を示した。

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