「福岡イン」から「福岡アウト」へ 航空便を誘致、海外旅行の増加を狙う

 福岡市が、福岡空港などを利用して九州から出国する海外旅行(アウトバウンド)の増加へ、知恵を絞り始めた。
これまで訪日旅行(インバウンド)誘致に注力してきたが、中国発のクルーズ客の先行きが不透明なことから、出国者を増やして、
航空路線の誘致などの武器とする。インとアウトの両輪で、国際的に「選ばれる都市」の地位を目指す。(中村雅和)

 7月30日、福岡市役所で「アウトバウンド検討会」の初会合が開かれた。市主催の会合には、旅行会社や航空会社の担当者や、
大学教授らが集まった。

 参加者はそれぞれ、海外渡航を促す取り組みを紹介した。今後、9月までに計3回の会議を開き、アウトバウンドの増加策をまとめる。
特に若者向けの対策に力を入れる。

 検討会発足の背景には、インバウンドの変調がある。

 福岡空港から入国する外国人数は、格安航空会社(LCC)の増加などが後押しし、平成29年は221万人と、24年(56万人)の約4倍に達した。

 しかし、クルーズ船の寄港数に異変が生じた。

 30年上半期(1〜6月)、博多港へのクルーズ船寄港数は125回で、前年同期の159回から2割も減少した。博多港だけではない。
九州全体の寄港数も、約460回と同期比15%減少した。

 主に中国において、クルーズ旅行の低価格競争が激化した。この結果、収益が悪化し、船会社が減便に舵を切ったという。

 クルーズ船に限らず、インバウンド市場の動向は、日本側の努力ではどうにもならない部分も大きい。

 加えて、日本人の出国伸び悩みも九州の課題だ。

 法務省の統計によると、福岡空港からの日本人出国者は24年は92万人だったが、29年は88万人に減少した。
この間、全国の出国者合計は増加傾向にある。

 インバウンドの増加がままならず、アウトバウンドも減れば、旅行業界での九州の存在感は薄れる。

 反対にアウトバウンドが安定していれば、海外の政情・経済不安によるインバウンドの激減の影響を小さくできる。

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https://www.sankeibiz.jp/macro/news/180829/mca1808290635002-n1.htm