30年に及ぶ平成の時代は「政治改革」の時代である。世界中が大きく変容しているなか、それはある意味で当然だったとも言える。

 実際、政治主導、特に官邸・首相主導の強化がこの四半世紀の間に進められてきたことは間違いない。しかし他方で、いくつかの面で懸念が持たれているのも事実であろう。

 強められた首相や官邸の影響力は、どこか暴走という状態に近づいていないのか。官僚の過剰なまでの「忖度(そんたく)」、一向に改善しない国会の変則さ、
与党自民党の不自然なまでの「沈黙」。こうした現状はどのように理解すべきなのだろうか。

 本稿では、平成の改革の歴史を振り返りつつ、懸念を抱えた現状を克服するために残された改革とは何なのか考えてみたい。

選挙制度改革が変えた政治のロジック
 平成の政治改革の発端となってのは、昭和の最末期に起きた1987(昭和62)年のリクルート・スキャンダルであった。この事件では、
ほとんどすべての自民党の有力政治家、そして一部の野党の有力議員までが連座。業界の利権と(裏の)政治資金との歯止めのない結びつきが明らかになった。

http://webronza.asahi.com/politics/articles/2018072400014.html