栃木県足利市に住むスリランカ人が、今年8月時点で704人にまで急増し、市内の国・地域別の外国人住民数で中国人を抜いて、トップとなっている。
先に移り住んだ人が同郷の人たちに「住みやすいまち」として紹介し、市内には「リトルスリランカ」とも言えるコミュニティーができているという。
日本人市民とスリランカ人住民の交流の輪も広がり始めている。

「足利の人たちにスリランカの良さを知ってもらいたい」。
7月15日、足利氏ゆかりの名刹めいさつ・鑁阿寺ばんなじ(足利市家富町)で、足利市内に住むスリランカ人が、故郷の伝統料理を無料で振る舞うイベントを開いた。

同市相生町のウメシュ・ラージャパクシェさん(35)が、足利に住む同郷の友人ら約10人と企画。
前日から約100人分のカレーや、スリランカのふりかけ「サンボル」などを仕込み、市民らに味わってもらった。

ラージャパクシェさんは2009年に来日し、現在は市内の繊維業者で働いている。
「足利に生まれ育った人たちと、我々スリランカ人が、もっと交流できる場所を作りたい」と話す。

足利市内ではもともとスリランカ人留学生の姿がみられたが、昨年春頃から急増。
400人台だった人口は、11月には外国人住民の国・地域別で最も多かった中国人(652人)を抜き、初めてトップになった。
今年に入り700人台まで増え、国内でもスリランカ人が多いとされる横浜市(7月現在で798人)や名古屋市(昨年12月現在で832人)に迫る勢いだ。

スリランカ人が急増する背景について、足利市市民課は「先に足利に住み始めた人が、新たに住み始めた仲間を生活面で支えるなど、強いコミュニティーが市内で形成されている」とみている。
日本語学校や、近隣に工業団地があり、仕事を得やすいことなどもある。

また、「東の京都」とも呼ばれる足利の土地柄も理由の一つのようだ。市内には123の寺があり、「仏教徒が多いスリランカ人にもなじみやすい」との声がある。
モスクもあり、礼拝が欠かせないイスラム教徒のスリランカ人からも喜ばれているという。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20180812-OYT1T50009.html