しかし、「日中国交断絶」とまで煽る過激なデモには、どこまでのシンパシーがあったのだろうか。森本さんは当時を振り返る。

 「とにかく中国は、『敵』だったんですよ。日本に攻めてくるぞ、というのもありましたし、反日マスゴミという土台もありました。マスゴミの背景にいるのは韓国であり、中国でしたからね。
中国が反日マスゴミとともに日本を貶める行為をしているのだ、と。だから『敵』なんです。

 そして、ネトウヨにとっては、とにかく敵だと言われたら敵なんですよ。それ以上、詳しく考えたら負けなんです。だって、ただピュアに信じてるだけであって、理屈は何もないんですもん。

 突き詰めて詳しく考えていくと、いろいろ矛盾点が見えて、やっぱり自分が信じているものに疑問が出てきてしまうんです」

 信じるに足るものではなく、自分が信じたいものをひたすら信じている状態。なんだか変だなと感じるけれど、是が非でも信じなければ、
まともに考えるなんてことをしてしまったら、自己否定をしなければならなくなってしまう。それはイヤ。

 “目覚めた自分”から、少しずつ目を醒ますにつれて、森本さんの心のなかには疑問が溜まっていった。そして、ある日、一気に欺瞞を崩壊させられる一言が……。

 「僕の書いていたネトウヨブログを、身近な女性が読んでいて、『森本さんがいつも書いてるブログって、全部マスコミが悪いんですね』って、ボソッと言われたんですよ。
これが、ボソッとだけど、かなりグサッときてしまって。

 そこから急に熱が冷めるといいますか、たしかにマスゴミ陰謀論にはちょっと無理があるよな、うわあ、俺、なにやってたんだろう!  って(苦笑)。

 やっぱり身近な人からの図星というか、本質を突いた一言って、相当響くんですよね」

 身近な女性にイタいところを突かれて冷静さを取り戻した森本さん。しかし今度はネトウヨの「家族感染」に見舞われて――。

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 一足早く卒業した森本さんが分析する「ネトウヨのリアリズム」、そして「遅れてきたネトウヨ」、「嫌韓こじらせた現代のネトウヨ」の特徴とは? 

 ※気になる続きは、8月26日公開予定です!!