横浜・大口病院48人“不審死” 女性捜査員が久保木容疑者を落とした瞬間
山内リカ2018.7.15 07:00週刊朝日

 事件発覚から1年と10カ月──。横浜市の旧大口病院(現在は横浜はじめ病院)の入院患者ら48人が相次いで中毒死した事件で、
逮捕されたのは、やはり疑惑の元女性看護師(31)だった。国内の犯罪史上、最悪の“毒殺”事件の突破口を開いたのは、ある女性捜査員の執念だった。

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 神奈川県警に殺人容疑で逮捕されたのは、旧大口病院に当時、勤務していた元看護師(現在は無職)の久保木愛弓容疑者(31)だ。7月9日には横浜地検に送検された。

「やっていません」と2016年9月の事件発覚以降、これまで容疑を頑なに否認し続けていた久保木容疑者の事情聴取は、一貫して捜査一課の女性捜査員が担当していたという。

 徐々に信頼関係を築いていき、久保木容疑者の言動に変化が見えてきたのは、今年春ごろだった。

「死にたい」と女性捜査員に打ち明けるようになったという。

「自殺されないよう、行動確認を徹底しつつ聴取を重ね、6月下旬に『私がやりました』と本人が認めた。
今回ほど、取り調べの基本の大切さを痛感した捜査はなかった」(捜査関係者)

 ここまで捜査が長引いた理由について、捜査関係者はこう明かす。

「発生直後から重要参考人としてマークし、早々に事情聴取を始めていたが、決定的な証拠がなく、身柄を取れなかった。
鑑定で久保木容疑者の看護服のポケットからヂアミトールの成分が検出されたのが、16年の暮れ。
ただこれもシフトに入っている人間だから決定的ではなかった」

https://dot.asahi.com/wa/2018071400018.html?page=1