コーヒーが月3千円で飲み放題、ステーキが月7万円で食べ放題――。飲食店にこんな定額制サービスが増えてきた。期間に応じて料金を支払う「サブスクリプション」と呼ばれるモデルだ。お得感によって利用者を囲い込む狙いだ。
 東京・秋葉原の個室居酒屋「柚柚(ゆゆ)」。6月末、近くで働く会社員の男性(38)は同僚と店を訪れ、店員に「30日間飲み放題」と書かれたカードを示した。
3千円を払えば、ビールやチューハイなどのお酒が文字通り1カ月間飲み放題になる。来店回数に制限はなく、男性は6月で6回目の来店だ。「来れば来るほどお得な感じ。飲み物代がかからないので、ついついぜいたくなフードを頼んでしまう」と話す。

 居酒屋などを展開するアンドモワが、2月から始めた定額制飲み放題サービス。首都圏中心に33店舗で実施している。定額制の期間は1カ月から6カ月まで計4種類あり、金額は最大で1万3千円。3千円のカードが売れ筋で、3月は計273枚が売れたという。

 利用者にとっては、来店回数が増えれば増えるほどお得になるが、店側の採算はどうなのか。アンドモワの担当者は「定額制の導入から売り上げが増加し、客数が増えた」と話す。飲み物にかけるお金を食べ物に回し、注文数を増やしたり、より高価なメニューを注文したりする傾向があるという。

 「サブスクリプション」は元々、雑誌などの「定期購読」を意味し、ビジネスでは「定額」を表す言葉として使われている。ソフトウェアや音楽・動画配信などのネット系のサービスでは一般的な手法だ。
店舗間の競争が激しい飲食店でも他店と異なる特徴を打ち出そうと、幅広いジャンルの飲食店が採り入れ始めている。東京・六本木の「ザ・ステーキ六本木」は、月約7万円で450グラムのステーキが、1営業日につき1枚食べられる(15人限定)。
首都圏で展開する「野郎ラーメン」は昨年11月から、月8600円でラーメンが1日1杯食べられる取り組みを実施している。
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