さまざまな“常識”が衝突する電車内
 公共の場でマナー違反を犯している人を見ると、誰もがイライラする。そのイライラが特に顕在化しやすいのが、さまざまに異なった“常識”を持っている人が集まる電車内である。

 目的地に着く時間を気にして焦っている人、移動中に少しでも体を休めようとリラックスを求めている人、大きな荷物を持って疲弊しきっている人。
それぞれがそれぞれの事情を抱え、イライラ、カリカリしている中で、自分が“常識”だと思っていたマナーから逸脱した行動をとる人たちを見かける場面が、電車内では多いのだ。

 その中でも、著者が今回言及したいのが、電車内の「座席マナー」である。ことさら混雑する電車内では、誰もができれば席を確保したい
と思っているだけに、座席をめぐるマナー違反には憤りを感じる頻度が高く、時には乗客同士のトラブルになることもある。

 世間の人は、どのような「座席マナー」の違反にイライラしているのか。周辺の声を拾った。

足を広げる、荷物を座席に置く、足を組んで通行妨害……
 筆者が聞き取り調査した中で、「マナー違反だ」と人々が感じることが多かったのは、座席の座り方である。足を広げて座っている人、
網棚ではなく座席に荷物を置いて座っている人。そういう人がいる場合は、7人掛けの長椅子に6人しか座れなかったり、3人掛けの椅子に2人しか座れなかったりといった問題が起こってしまう。

「先日、足を広げて座っているビジネスマンが同じ7人掛けの長椅子に2人いるのを見かけました。6人しか座れていなかったし、座れている人も窮屈そうでした」(30代男性)

「年配の女性が荷物を座席に置いていて、1人分座れない状況に。網棚に荷物をあげるのが大変なのはわかるんですけど、『荷物を上にあげま
しょうか』と声をかける勇気もなく、その日は営業回りで疲れていたのですが、座るのを諦めました」(30代男性)

 座り方の問題では、「足を組んで座る人」に対するイライラもあるようだ。

「空いている車内で足を組んでいるのは別にいいのですが、混んでいる時にやられると邪魔で仕方ない。しかも、足に当たった時に舌打ちされたことがある」(20代女性)

 筆者が気になるのは、友人などと一緒に電車に乗った際、座席に座っている人の両脇が空いていた場合は、1席横にずれてもらえれば友人と並ん
で座れるのだが、かたくなに座席を移動しようとしない人がいる、ということである。少なくても、自分が同じような場面に遭遇した場合は1席
横にずれて「どうぞ」と声をかけるし、ずれて並びの2席を空けてもらった場合は「ありがとうございます」と丁寧にお礼を言うことを心がけている。

 むしろ、1席ずれないことによって、サンドイッチのように挟まれてしまう事態に陥ることになる。友人同士の乗客に挟まれながら座席に座って、
果たしてリラックスできるのだろうか。筆者なら、きっと気まずい思いをしてしまうだろう。頑なに座席を移動しない人は、そこらへんのことをどのように考えているか。本当にモヤモヤして仕方ない。
https://diamond.jp/articles/-/174477