ナチス・ドイツの製造方法

 地下鉄サリン事件のあと、日本の法執行機関に米陸軍情報部から依頼が舞い込んだ、と公安関係者は言う。
地下鉄サリン事件の際、現場で採取されたサリンのサンプルがほしい、というのだ。

 しかし、法執行機関が裁判に備えて「証拠」として保管してきたものを外国情報機関に提供することはできず、断ったという。

 米陸軍情報部は北朝鮮が絡んでいた可能性に注目したらしい。
オウムが製造したサリンに混ざったごく少量の不純物を調査して、製造過程を分析しようと考えたと見られる。

 ただ、オウムでの製造方法については、専門家の間で、旧ソ連・ロシア由来の方法、との見方が一般的だった。
だが、上九一色村(当時)の教団施設で文献を参考に実験を重ねた土谷正実死刑囚(53)=死刑執行=はこれを否定していたという。

 米シンクタンク「新米国安全保障センター(CNAS)」は、オウムでの製造工程から見て、
ナチス・ドイツが行った有機リン化合物の合成方式を基にした製造法、との結論を出している。
CNASが2011年7月に発表した報告書「オウム真理教への洞察:テロ組織はいかにして生物・化学兵器を開発したか」で指摘している。

 CNASは、松本死刑囚の主治医で「法皇内庁」のトップを兼ねていた中川智正死刑囚(55)=死刑執行=から
CNASのリチャード・ダンジグ理事長に送られてきた手紙の中に挿入されていたサリン製造装置の略図などを参考にしたようだ。