聴覚障害者100人の宿泊断る 熱海市の宿泊施設

聴覚障害者の団体が申し込んだ100人規模の宿泊について、静岡県熱海市が運営する宿泊施設が、火災の発生を視覚的に知らせる設備が無いことなどを理由に断っていたことがわかりました。
市は、団体に謝罪したうえで障害者差別解消法の趣旨を改めて徹底したいとしています。

静岡県聴覚障害者協会は、1泊2日の研修会を企画した「全日本ろうあ連盟青年部」の依頼を受け、ことし1月、熱海市内で100人が宿泊できる施設を確保しようとしました。

このうち申し込みを受けた、熱海市が運営する「姫の沢公園自然の家」が「聴覚障害者専用の施設に泊まってほしい」などと断ったことから、協会は静岡県を通じて市に抗議しました。

市などによりますと、「姫の沢公園自然の家」には、火災の発生などを視覚的に知らせる設備がなく、建設から38年が経過しことし9月に閉鎖する予定だったことから、大勢の聴覚障害者の受け入れは困難だと判断したということです。

佐藤康弘施設長は「100人を受け入れた時、万が一の災害を周知できるか不安があり、ほかの施設を勧めた。説明不足で配慮が行き届かず申し訳ない」と話しています。

市は、協会に謝罪したうえで障害者への不当な差別を禁じる障害者差別解消法の趣旨を改めて徹底したいとしています。

静岡県聴覚障害者協会の小倉健太郎事務局長は「耳が不自由だからといって門前払いするのではなく、少しの工夫で受け入れが可能になることを施設の運営に携わる人たちは知ってほしい」と話しています。

熱海市の副市長が陳謝
静岡県熱海市の森本要副市長は、NHKの取材に対して「配慮が足りず反省すべき点があった。配慮すべき方々に寄り添った対応ができるようにしたい」と陳謝しました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180710/k10011526741000.html