(社説)オウム死刑執行 根源の疑問解けぬまま


オウム真理教の元幹部6人に、きのう死刑が執行された。
上川陽子法相は「答えを差し控える」と繰り返すばかりだった。
世界からも注目が集まる事件で、従来どおりの秘密主義を貫いたのは残念だった。

多くの国が死刑廃止に向かうなか、日本は世論の支持を理由に制度を存置している。
だがその実態は国民に伝えられず、議論する土台が形づくられているとは言いがたい。
考えを見直し、できる限りの情報公開に努めるよう、改めて求める。

 なぜ教団は社会を敵視し、サリンの散布にまで走ったのか。
その根源的な疑問は解けないまま残されている。
関係者の聞き取りや記録の分析をしてはどうか。朝日新聞の社説はそう提案してきた。
できることは依然あるはずだ。

いまの日本は、自分たちとは違うと思った存在を排除し、疎外感を募らせる方向に流れては
いないだろうか。
オウムとは何だったのか、もう一度問い直したい。

https://www.asahi.com/articles/DA3S13574356.html