大阪市東淀川区の市水道記念館で飼育されていた国の天然記念物で、絶滅が心配される淡水魚「イタセンパラ」が全て死に、市は飼育を終了した。
橋下徹前市長時代の予算削減に伴って繁殖事業が中止され、「全滅」は時間の問題だった。【真野敏幸】

イタセンパラはコイ科に分類されるタナゴの仲間で、日本固有の淡水魚。
体長は10センチほどで二枚貝の体内に産卵する特徴がある。
淀川水系、富山平野、濃尾平野の3カ所に分布。
国の天然記念物で、環境省のレッドデータブックでは「絶滅危惧1A類」に指定されている。

市は2005年、水道記念館で保護繁殖事業を開始。
当初の50匹から1000匹以上にまで繁殖させた。
だが12年、市の経費削減の一環で記念館は一時休館。
水生生物の展示も中止され、繁殖事業は凍結されて飼育だけとなった。

その後、市はイタセンパラの譲渡先を探したが、飼育が難しいこともあって見つからなかった。
生態系への影響から川に放流することもできないまま、飼育を続けていたという。
今年5月、最後の1匹が死んだのを職員が確認した。

また、同館で飼育していた絶滅危惧種のドジョウ「アユモドキ」が全滅しているのも確認した。
市は文化庁あてに「天然記念物滅失届出書」を提出した。

https://mainichi.jp/articles/20180705/k00/00e/040/216000c
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