県が公務員獣医師の確保に頭を悩ませている。全国的になり手が不足する中、県では採用試験の実施回数を増やすなど門戸を広げ、
手当を上乗せするなど待遇を改善してきたが、採用枠に満たない状態が続く。
ペットブームで、学生の就職が民間の動物病院に集中していることが要因という。県は7月から、希望者に就業体験をしてもらう。
関係者は「職場環境は充実している。ぜひ仕事場を見てほしい」と呼び掛けている。(古市豪)

 公務員獣医師は、保健所や畜産試験場、家畜保健衛生所などで、家畜の検査や研究をしたり、食肉や乳製品など食品の安全を管理したりする。
県の獣医師は105人(4月1日現在)。人手が足りず、このうちOBら6人を嘱託職員として採用している。

 採用を増やすため、県では2004年度から、採用試験の年齢制限を「29歳以下」から「35歳以下」に、08年度からは「39歳以下」に緩和し、
試験の回数も04年度以降は年1回から複数回にした。
また、初任給調整手当を月額最大5万円支給するなど待遇面でも改善を図った。それでも、16年度の採用数は、10人の募集にわずか3人。
昨年度も9人の募集に対して6人の採用にとどまった。県によると、家畜を扱う仕事が中心の公務員獣医師を「地味」などと敬遠する学生も多いという。

 徳島市南庄町の徳島家畜保健衛生所で働く山本由美子さん(42)は10年前、大阪の民間動物病院で勤務後、Uターンして公務員獣医師に。
当初は、家畜の殺処分への決断を委ねられるなど大きな職権に戸惑ったが、今では多くの人のために役立っていると思えるようになった。

 また産休取得後、研修制度を利用して職場復帰をスムーズに行えたことから、山本さんは「民間にはない働きやすさがある」と語る。

 県畜産振興課は「最新の機器を使い、県民の安心、安全を守る。やりがいのある仕事です」とアピールする。
獣医師のインターンシップは、7月23日から9月14日の間で1週間行われる。

県の獣医師 なり手不足
https://www.yomiuri.co.jp/local/tokushima/news/20180630-OYTNT50025.html