【6月23日 AFP】真夜中に繰り返され、精神をじわじわとむしばむ「ぽちゃん、ぽちゃん…」という水滴の音──。
これまで謎だったこの音の発生の仕組みをついに解明したとする論文が22日、オンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に掲載された。
論文の主著者は英ケンブリッジ大学(University of Cambridge)の学部生サミュエル・フィリップス(Samuel Phillips)さん。
この研究に取り組んだきっかけは、フィリップさんを指導するアヌラグ・アガルワル(Anurag Agarwal)教授が友人宅に泊まった時、屋根に小さな雨漏りがあったことだった。
「水がバケツに落ちる音で眠れなかった」と教授は回想。
「翌日、友人と訪問中の別の研究者にこの話をした。音が発生する原因について、これまで誰も実際に答えを出したことがなかったことに、私たちは皆驚いた」
先行研究では、水滴の衝突によって水面に穴が生じる際、その下に空気が短時間閉じ込められて小さな泡が形成されることが分かっており、
科学者らはこの泡がはじけるときに音波が水面に到達して空中に抜けていくのだと推測していた。
フィリップスさんらは、音発生の仕組みを解明するべく、最新の音響映像技術を駆使した実験を実施。
超スローモーションビデオ、マイク、水中聴音器を使用することで、これまで見過ごされていた細部の観察に成功した。
水面下に閉じ込められた気泡は、水面にできた穴が深くなるにつれ、振動を始めていた。
「振動する気泡が放つ音波は、これまで考えられていたように単純に水面から空気中に抜けるのではなく、穴の底の水面そのものを振動させ、音波を空気中に送り出すピストンのように働く」とフィリップスさんは説明する。
研究チームはさらに、雨漏りの「ぽちゃん」という音を消す方法も発見。受け皿の水に少量の食器用洗剤を加えればよいのだという。
「それにより水の表面張力が変化し、水中に気泡が閉じ込められるのを防ぐ。気泡がなければ音はしない。したがって『ぽちゃん』という音もなくなる」(フィリップスさん) (c)AFP/Marlowe HOOD

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