「G-レコ」は劇場版が本編

──今回「逆襲のシャア」と「F91」が4K ULTRA HD化されましたが、ご自身のほかの作品で同じ仕様にしてみたい作品はありますか?

ありません。
僕が主体になっていろいろなアニメを作っているように見えるかもしれないけど、全部誰かのオーダーがあるからやっていることです。
自分が作りたいと思ってやったのなんて1、2本あるくらいで、オーダーがない限りやる気はしません。
宮崎駿監督みたいに「いい原作が見つかったから、引退宣言していたけどまたやるぞ」なんてことは僕にはないんです。

──とはいえ、富野監督の次の作品を期待しているファンは多いです。
現在発表されている劇場版「ガンダム Gのレコンギスタ」への意気込みを教えてください。

意気込みはありません。
劇場版「G-レコ」も、僕が「やるぞ」と言ったものをバンダイ(ナムコアーツ)が受けてくれたという点では
ほかの作品と違うように見えるかもしれないけど、ちょっとニュアンスが違いますね。
まずテレビ版をオンエアする環境やビジネスの仕方を考えたときに僕は異常だと感じたんです。
それを改善するためにどうすればいいかと考えて、行き着いたのが劇場版という形でした。

──どういう風に異常と感じたのか、具体的に教えていただけますか。

つまり「巨大ロボットものを深夜にオンエアしてどうするんだ」ということです。
営業や販売の人は「深夜のオンエアでも、今の視聴環境なら観る人は観てくれる」と言います。
確かに深夜にこっそりオンエアしても、商売になっていなくもないらしい。でも「それが興行か?」と言いたいのです。
アニメではなく映画的な考え方だけど、人を集めてみんなで「つまんねえな」とか「面白いよね」って言い合って成立するのが興行でしょう。
だから深夜でオンエアするとわかったときに、「だったらオンエアが終わるまでの2クール分、0号のフィルムの感覚でテレビ版を作る。
それを見直してから劇場版を本編として作る」という覚悟をしたんです。




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https://natalie.mu/comic/pp/gundam_cca-f91