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米韓両国は合同軍事演習について、有事の部隊運用の訓練などあくまでも防衛的な内容で、軍事圧力ではないと位置付けてきた。
だが、北朝鮮は米韓合同軍事演習のたびに強く反発してきた。

米韓の合同軍事演習は北朝鮮を強く刺激し、米朝交渉の大きな障害になる。
朝鮮半島の完全非核化、さらには朝鮮戦争の終結宣言、平和協定締結などが実現すれば、北朝鮮の脅威はなくなる。
そうなれば、軍事演習は必要なくなる。優先すべきは軍事的な圧力などではない。

菅義偉官房長官は米韓合同軍事演習中止を受けて「合同演習の停止は生産的で善意のある交渉の継続が前提条件である。そうでないと判断された場合には、合同演習停止との大統領のコミットメント(責務)は有効でなくなる」とのポンペオ米国務長官の言葉をわざわざ紹介した。

金正恩朝鮮労働党委員長は「朝鮮半島の完全非核化」を約束しており、日本もその確実な履行を後押しすることが求められる。
非核化に向けた交渉が頓挫した場合のことをあえて持ち出すことは、厳に慎むべきである。

小野寺五典防衛相は、米韓合同軍事演習の中止について一定の理解を示す一方で「米韓合同演習は地域の平和と安定を確保していく上で重要な柱」とも述べた。
断じて認められない。
軍事的な脅しで得た「平和と安定」は必ず破綻する。そもそもそれは「平和」ではない。

おしまい