株主総会シーズンに入り、アクティビスト(物言う株主)の出番である。

6月28日に株主総会を控えた東京放送ホールディングス(TBS)への株主提案議案が話題を呼んでいる。
政策保有株の売却を迫る内容だからだ。

株主提案をしたのは、英国の物言う株主のアセット・バリュー・インベスターズ(AVI)だ。
5月31日、都内で会見を開き、アドバイザーのスティーブン・ギブンズ上智大学教授が株主提案について説明した。

AVIはTBSの発行済み株式の1.7%を保有している。TBSが4.68%の議決権を持つ東京エレクトロン株式のうち、
40%にあたる約300万株を配当財産とし、TBS株57株に対して東京エレクトロン株1株を現物で支給するよう求めた。
金額にすると600億円超になる。9月末の実施を求めている。

AVIは東京市場でも20〜25銘柄投資している。経営陣と友好的な対話を基本としており、議案を提出したのは
初めてといい、会見したギブンズ氏は、「持ち合いの問題点を浮かび上がらせたいから」と説明している。

「政策保有株はいけないという認識が広がるなか、TBSは政策保有株を中心に有価証券が総資産の半分以上を占め、
ほかに不動産や現預金を持つ。放送会社というよりも投資ファンドに近い、バランスの悪いポートフォリオだ。
株式の時価総額は資産価値の半分近い水準にとどまる。これらの株式をTBSという器から解放すれば、
ディスカウント状態は解消されよう。
東京エレクトロンなど各銘柄を保有する理由は、『グループ経営上の取引関係維持・強化のため』など、ほぼ同じ表現。
説明責任を果たしていない」(ギブンズ氏)

東京エレクトロンは、半導体製造装置で世界4位。TBSは3位の株主だが、1位と2位は信託口なので、事実上の筆頭株主だ。
TBSはAVIの株主提案に対して反対を表明。「もともと東京エレクトロンはTBSの関係会社だった経緯がある」

とし、「同株が安定的な財政基盤を支えている」と反論している。

http://biz-journal.jp/2018/06/post_23653.html