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5つ星のうち5.0小野田少尉に対する強烈な批判書
2014年1月19日
小野田少尉の手記のゴーストライターによる告発の書。当時大手の新聞、テレビで好意的に
取り上げられた小野田少尉のイメージが、実際の姿とは全く異なると指摘している。自分が
虚像を作り上げるのに一役買ってしまったことへの後悔からこの本を書き上げたと述べている。
作者の小野田少尉に対する批判は数多いのだが、まずなんといってもルバング島民殺害の
件である。小野田少尉は敗残兵狩りをするフィリピン軍との戦闘で相手兵士を殺したというのが
一般的な認識だが、実際の被害者は小野田少尉が食料を強奪するために殺した一般の島民、
警察官ばかりでその数は30人になると自身で語っていたらしい。島民に対する蔑視、後悔の
欠如も付け加えている。
あとは家族に対する情の薄さ、批判者への異常な罵倒(終戦後数年で離脱した人物に「あの
野郎、ぶっ殺してやる!」、「野坂(昭如)をひき殺してやる」等)、証言の不自然さ(少尉が残置
工作せよとの命令を師団長、方面軍参謀長から受けるなどありえない、ビラやラジオで知ら
される戦後社会の様子や肉親の呼びかけをアメリカの謀略だと考えていたとの言葉は本当
なのか)などが、作者が「小野田手記」を執筆、取材する過程の中で明らかになる。作者は、
小野田少尉が30年以上も姿を現さなかった理由は島民の報復を恐れたからだと推定している。
この本を作者のでっち上げだとか売名行為だと言うには細かな点まで描かれている一方で、
ところどころで顔を出す作者の一面(靖国とか天皇の戦争責任に無理やり絡ませる)が気にも
なる。どっちの側が真実に近いのか、判断するのは難しい。