発達障害ゆえに「出会いがない」「異性とうまく話せない」「緊張してしまう」などの様々な悩み。発達障害者同士で結ばれた夫婦と、
その結婚をサポートしたウェディングプランナーが、同じような境遇の人に向け婚活パーティーを開く。「発達障害だからと諦めてほしくない。だからこそ、幸せになれると知らせたい」という願いが込められている。

 「生きている価値がない。人に蔑まれる人間だ。こんな世界に生きていたくない。私の普通が普通でないことで、たくさんいじめに遭いました」。
これは住吉友美さんが結婚式で読み上げた手紙の冒頭の言葉。発達障害がある人はコミュニケーションや対人関係を作るのが苦手とされる。
また、その行動や態度が「自分勝手」や「変わった人」「困った人」と誤解され、敬遠されることも少なくないという。友美さんは夫・健司さんと出会い、
3年間の同棲期間を経て昨年結ばれた。付き合ううちにお互いが同じ障害を持っていると知り、より一層距離が縮まった。

 結婚式を挙げるにあたり、2人から相談を受けた市内在住ウェディングプランナーの古橋多恵子さんは「発達障害のカップルが自分たちで結婚準
備をすると様々な困難があることを知った」という。発達障害の人は、話からイメージすることが場面によっては苦手なことがある。結婚式の場合
は特に仮のイメージの中で話を進めていかなければならない。住吉夫妻も担当者のいうことがすぐに理解できず、また自分たちの思い描いている物
事を伝えられないこともストレスとなった。マルチタスクをこなすのが苦手で、どの項目をどの段階でこなさなければならないのかの把握も難しく、
段取りがこんがらがってしまうことも。そんな中、古橋さんは2人に寄り添い、式場との間に入り、思い描いていることを伝えやすい環境を作って
いった。「これまでの人生で『理想を形にする』ということがほとんど叶わず生きてきたので、希望が持てた」と振り返る友美さん。2人は今、幸せな夫婦生活を送っている。

 古橋さんは今年3月に、発達障害の人が結婚し、どのように生活していけば幸せになるかという住吉夫妻の成功体験を伝えるセミナーを開いた。
そこで、多くの参加者から婚活の悩みや、出会いの場を希望する声を聞いた。「人生において『結婚』も含めてもっと夢と希望をもって頂きたいと
願っている。どのようにしたらそのように前向きに生きていけるか、住吉夫妻と共にそれを考え伝えていきたい」と話す。

https://www.townnews.co.jp/0304/i/2018/06/14/435774.html