紀州のドン・ファン怪死の報道を見ながら、「20年前を思い出すわ」と、しみじみ語るのは、
和歌山カレー毒物混入事件、林眞須美死刑囚の夫、林健治氏だ。
野崎さんの自宅前を連日、メディアが取り囲んでいるが、カレー事件の時も同じ光景が繰り広げられたというのだ。

「状況はカレー事件の時とよく似ている、そっくりや。テレビ見たら、カレー事件の時にいた記者連中の顔もあったな」と健治氏。
「家の電話は朝から夜まで鳴りっぱなし。インターホンが聞こえて出ると必ずマスコミや。
マスコミに翻弄される毎日やったわ。トイレに行く時間すらなかった」

そんな中でも健治氏は心がけていたことがあった。
「ワシは今でも眞須美は冤罪やと思っている。だから、メディアに家を取り囲まれても、外出の必要があれば堂々と出かけた。
逃げるように、コソコソするとそれこそ犯人や、怪しいというイメージになる。
世論に犯人だとされてしまうと思ったんや。
だから、『堂々としていたら、ええんや』と家族にも口をすっぱくして言うたわ」。

メディアに追いかけ回される野崎さんの妻の映像をテレビで見たという健治氏はこう同情する。
「右も左もわからん若い女の子がマスコミに追いかけられて気の毒なもんや。
ほんま、同情する。その心情は自分のことのようにわかる。しかし、犯人ではないなら堂々とした方がええ」

さらに同じような経験をした立場からアドバイスをしたいと主張する。
「おこがましいけど、一刻も早く刑事事件に強い弁護士に依頼をするべきや。
和歌山は腕のええ弁護士があまりおらん。地の利から見れば、大阪の弁護士がいいと思うな。
ワシも弁護士を選任して、窓口になってもらい、かなり楽になった。
弁護士にはちゃんとカネを払うこと。そうしないと、働いてくれやんからな。
やっぱり金やで。資産家のドン・ファンの妻なら弁護士代くらい安いもんや」
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