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「運動を攻撃」

抗議行動の側はどう考えているのか。リーダーの一人、県統一連の瀬長和男事務局長は「渋滞は一度に100台もの工事車両が殺到している影響の方が大きい。違法工事で原因をつくっておきながら、やむにやまれぬ私たちの運動を攻撃している」と反発する。

確かに工事車両は増えている。
工事が始まった2014年当初は1日10台程度だったが、今年2月の名護市長選翌日に300台を突破。
現在は最多で394台に達している。砕石を大量に使う護岸建設の加速も関係しているとみられる。

工事車両増加と渋滞との関係について見解を尋ねると、防衛局は直接答えなかった。
「通勤時間帯を避けて車両を出入りさせるなど、周辺住民の生活環境への影響を少なくするよう努力している」とだけ述べた。

現場で時間測定 渋滞を検証

渋滞の実態を現場で調べた。5月26日の土曜日。午後3時前、工事車両88台がゲート前にやって来た。
座り込みのためすぐに基地内に入れず、目測で1キロ以上の渋滞ができる。

市民は約70人で、機動隊が強制排除するまでに約10分。
その後、全長7メートル以上あるダンプや生コン車がゆっくりゲートに入っていくため、渋滞が解消したのはさらに約20分後だった。

工事車両より多い92台の一般車両が巻き込まれた。
いら立たしそうに急加速して現場を離れる人、路線バスの車内から抗議の市民に手を振る乗客もいた。
座り込み人数や搬入台数にもよるが、強制排除の時間に比べ、車列が入っていくのに2倍程度の時間かかるのが通例になっている。

おしまい

阿部 岳(あべ たかし)
沖縄タイムス社北部報道部長
1974年東京都生まれ。
上智大学外国語学部卒。97年沖縄タイムス社入社、政経部県政担当、社会部基地担当、フリーキャップなどを経て現職。
著書 国家の暴力 現場記者が見た「高江165日」の真実(朝日新聞出版)。
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/70787
http://i.imgur.com/BaZ4ma7.jpg