「日本は輸出市場と同じくらい内需市場の比重が高いうえ、景気低迷期を経て日本の物価は下がった」

アベノミクスを足がかりに、日本経済が復活しているという判断のためだろうか。そうではない。青島氏は
「日本経済が『失われた20年』から脱出したとは言えない。過去よりも景気が良くなったのは確かだが、
円安政策や株価浮揚など日本政府の人為的テコ入れ策によるものだ」と述べた。

日本国内で雇用が増えて失業率が低くなる現象に対しても青島氏の評価は批判的だ。青島氏は「引
退後の再雇用形態である60歳以上の再就職比率が非常に高い」とし「前年に比べて就業者数が40万
〜50万人程度増加しているが、その中身を見てみると60歳以上の再雇用率が高いため、アベノミクスが
実質的な雇用指標改善につながっているとは考えにくい微妙な状況だ」と答えた。
日本国内の企業の状況も違わない。青島氏は「日本企業が400兆円に達する利益を上げているが、過
去の不況の経験や未来の不確実性のためなのか、攻撃的に未来産業に対して投資をしていない」と指摘し
た。そう述べつつ、日本自動車産業を例に挙げた。

青島氏は「自動車は日本経済の根幹産業だが、モノのインターネット(IoT)や人工知能(AI)、自動運転、
カーシェアリング等で産業の構造そのものが変化している」とし「日本自動車企業がこのような新産業に対す
る投資を積極的にしなくなっているため、アマゾンなどにおされて今後競争力を維持することは難しいだろう」
と予想した。