「タダでも欲しくない」不動産が日本中で増え続けている

 不動産市場は高騰を続ける首都圏の“局地バブル”に踊らされて狂乱状態と
なっているが、全国を見渡せばタダでも売れない空き家や無価値となったマン
ションなどが溢れ、その波はジワジワと都市部に押し寄せている。住宅ジャーナ
リストの榊淳司氏が、そんな歪な不動産の価値観について警鐘を鳴らす。

 今、日本では有史以来の大きな変化が起きようとしている。
 従来、日本人が持っていた不動産に対する価値観が崩壊してしまったのだ。
それを象徴する現象が「無価値化」。つまり、不動産に価値が見出されなく
なった。「タダでも欲しくない」不動産が、日本中で増え続けている。
 ネットを見ると「タダでいいからこの不動産をもらってください」という
情報をいくらでも見つけることができる。あるいは、ほぼタダ同然の価格で
不動産を譲りたいという物件を集めたサイトもある。「空き家 無料」、
「家いちば」、「空き家バンク」、「田舎の生活」などのワードで検索すれば
容易に見つかるはずだ。
 私が見る限り、日本の土地の8割から9割は、ほぼ換金価値がなくなっている。
たとえ日本の首都である東京であっても、遠隔の郊外に行けば「100万円でも
買い手がつかない」と判断できる古屋を見つけることができる。あと10年も
すれば、多摩ニュータウンの老朽マンションも、そういうカテゴリーに入って
くる可能性がある。
 そういった不動産も、いちばん高い時には5000万円前後の価格で売買されて
いたことだってあるのだ。
 いったいなぜ、こんなことになってしまったのか?
http://www.news-postseven.com/archives/20180513_673100.html