首都圏でもとりわけ激しい混雑が常態化しているJR南武線について、川崎市内の労働組合で組織する川崎地域連合が車両の
長編成化やラッシュ時の増便、ホームドアの設置を求める署名活動を始めた。これまで市に政策要求してきたが、早急な対策を求め、
今回初めてJR東日本に対して請願を行う。

 10日午後6時、南武線の武蔵小杉駅ホームは帰宅する人たちであふれ返っていた。電車は頻繁に来るが、車内はすし詰めで、
乗るのをためらう人々が次発を待つ。「無理なご乗車はおやめください!」。駅員が乗客を押し込む姿も日常的だ。
同日夕の署名活動は混雑の激しい武蔵小杉、武蔵中原駅で実施。通勤、通学客に呼び掛けた。

 「あばら骨が折れるのではないかと思いますよ」。市北部から武蔵小杉のオフィスに通う40代の女性会社員は署名に応じながら
混雑ぶりを苦々しく語る。同僚の女性は、運賃が増し、時間もかかるにもかかわらず、南武線の混雑を避けて東急田園都市線と
東横線を利用して武蔵小杉に通勤すると明かす。

 マンション開発が相次ぎ、武蔵小杉などでは住民が増え続けており、南武線の最混雑区間は午前7時半〜8時半の武蔵中原−
武蔵小杉間がピーク。混雑率は幅の広い車両の導入などで若干改善されたものの2016年度は188%(国土交通省調べ)で、
首都圏のJR線では総武線各駅停車(錦糸町−両国)、横須賀線(武蔵小杉−西大井)に次いで3番目に高い。
南武線のピーク時の運行本数は1時間に25本と都心部の地下鉄並みだが、混雑率が高いのは、都市部のJRでは珍しい
6両編成が一因になっている。

 市は抜本的な輸送力強化のため、JR東日本に車両の長編成化を働き掛けており、国交省の交通政策審議会小委員会も
16年の答申で、同線の輸送力増強に初めて言及した。

 ただ、長編成化にはホームの延長が必要な上、ホーム前後に踏切がある駅が多く、一筋縄ではいかない事情がある。
沿線の稲城、立川など都内4市との調整も求められる。

 こうした中、川崎市は昨年、南武線利用の職員の時差通勤を試行。今年も実施する予定で、市内企業などにも呼び掛け、
混雑緩和に努める考えだ。

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